小説「連鎖」読みました!
黒川博行さんの書かれた小説、「連鎖」を読みました。
黒川博行さんの作品が好きで、よく読んでいます。
下調べに力を入れてるということで、勉強にもなると感じています。
映画にもなった、「疫病神」シリーズは、知っている人も多いのではないでしょうか?
疫病神シリーズでは、北朝鮮まで舞台を広げる「国境」が好きでした。
他にも落ちこぼれの元刑事の堀内と伊達が活躍するシリーズ4つも面白く、全て読みました。
堀内と伊達が、マル暴担当刑事時代に賭場を検挙する「悪果」。
警察を追われた二人が、競売専門の不動産会社に調査員としてコンビで活躍する「繚乱」。
脅迫を受けたパチンコホールのオーナーを助けることから展開される「果鋭」。
消えた5億円の金塊を追う「果鋭」です。
本作では、「落英」や「桃源」にも登場した刑事の上坂勤が登場します。
これも上坂勤シリーズと言ってもいいかもしれません。
今回の作品も上坂は、サポート役のような形で登場します。
大阪の刑事である磯野の視点を中心に話は展開していきます。
食品会社の社長・篠原の遺体が高速道路の非常駐車帯で見つかった。手形が不渡りになり、自殺の恐れがあると、妻からの捜索願を受理していた大阪・京橋署の上坂と磯野は、自殺とみて捜査を始める。篠原をめぐる人間関係、巨額の保険金、そして手形の行方……絡まりもつれ合う糸をほぐすような調査から見えてくる真相、その連鎖から浮かび上がる複数の事件は。
できる刑事
結果、大阪の京橋署の刑事は、全員優秀ということになるかもしれません。
中心として登場した磯野も多くの活躍をしました。
しかし、最初の方は、皆、できそこないのような感じで描かれていました。
磯野も上坂が来るまでは、サボることが当たり前だったようです。
上坂は、前回の作品「桃源」のあと、左遷に近い形で京橋署へ移動となりました。
務める署によってもランクがあるようですね。
上坂が、移動して来て、一緒に働くことで周りが影響を受けて力を発揮したのかもしれません。
上坂勤の魅力
愛嬌があり、とぼけた感じで、面白いことを言いながらも仕事はできる、そんなキャラクターのように思いました。
映画が大好きで、豆知識が会話の中でたくさん出てきます。
食べることも大好きで、食事のたびに日頃から調べていた気になっていた料理屋を訪ねて大食いします。
上坂は、麻雀もうまく、磯野と何回か対局しています。
最初負けたあとに、もう一回誘い大勝ちするのですが、狙って負けたのかもしれません。
過去の話を聞いてると上坂は、麻雀が強いので、簡単に負けるはずがありません。
仕事でもそのように、「わざとやっているのか?」と思う部分があります。
上坂が調査のために聞き込みをするとよい指摘をしていて、事件に対する見解も鋭いです。
すべて把握してるのではないかとも思えるくらいです。
しかし、会話では、「なんでXXなんですかね?」とか「どういうことですか?」と確認する場面が多く見受けられます。
このようなやりとりも周りに語らせることで事件解決に導いているようにも思えます。
上坂勤は、”実は、できるが、とぼけていて、愛嬌がある”、そんな愛されキャラではないでしょうか?
事件がどんどん大きくなる
今回の「連鎖」の面白いところは、話が文字通り連鎖して、どんどん大きくなる点だったと思います。
最初は、つまらなそうな行方が知れないという調査が、最終的に3件の殺人事件になっていきます。
磯野と上坂の地道な捜査が、周りを巻き込んで、どんどん大きくなっていきます。
やる気のなさそうだった上司や署員も最後は、優秀な刑事に変わっていくのです。
上坂の人間的な連鎖が、小さな事件を大きな事件への連鎖へと導いたとも言えるでしょうか?
小さな一つ一つの確認が、事件捜査では大切なようです。
刑事の仕事だけではなく、いろいろなことにも言えるのではないかと感じました。
日頃の小さな積み重ねが連鎖して、大きな結果へと繋がるかもしれません。
ありがとうございました!
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